G-SHOCK(ジーショック)のできるまで②【製造実現編】

2025/05/21更新

こんにちは!SHINKODO WATCH Online Storeです。G-SHOCKの開発経緯まとめ後半となります。困難の中、G-SHOCKの開発は原点である構造設計を作り出し、それを形にする段階まで進みました。いざ、製造段階に進みましたが製造ができるまでの過程はどうなるのか?その過程のご紹介です!

→「G-SHOCK(ジーショック)のできるまで①【開発・設計編】」より続きとなります。

・素材も当時の新基軸

設計段階が進展し、実現の目途が立ったかに見えましたが、製造工程に移る上でも試練が待ち構えます。
当時、モジュール部の素材はステンレス・スチールですぐに決まったものの、ベゼル・バンド部の素材は多くの選択肢から精査したといいます。
そして、様々な素材の中から、医療分野でも使われている、安全・安心な『ウレタン』を採用しました。
G-SHOCKといえば樹脂素材のイメージが強いですが、その初号機はウレタンから始まりました。(2025年現在の樹脂ケースモデルはバイオマスプラスチックを採用したモデルが多い傾向です。)
しかし、当時のウレタン素材は工業製品で用いられることが一般的ではなく、形成が難しいため、製品化には多大な労力を要しました。
G-SHOCKは構造が複雑なこともあり、開発当時は部品メーカーが設計通りのパーツ成形が出来なかったのです。
職人が作成は無理だと訴えましたが、伊部菊雄氏自身がそこを必死で頼み込み、工房に通い詰めてどうにか解決にたどり着いたそうです。
一般的でない新しいものを作る上での苦労が実り、現在もその質感のイメージを損なうことなく活き続けています。

・組み立てまでも難航

設計段階からの難航に次ぐ難航。いざ、組み立ての行程に入ろうということで、八王子のカシオ技術センターにて試作ラインを組んだところ、構造が複雑すぎてラインでは流せないとの判断が一旦下されたそうです。そこもなんとか上層部を説得することで何とか製造できることになりました。
その際の製品化する上での組み立て工場は、今やカシオウォッチマザーファクトリーである「山形カシオ」に決まったそうです。
やっとのことで、実際の組み上げ行程に入った時も難航を極めたそうです。
G-SHOCKは複雑な構造他、ケガ防止のために一定の力が加わるとバンドが外れる仕組みであり、通常の時計と違う仕組みが行程を難航させました。
工場スタッフが難しすぎる!とのことで匙を投げそうになったそうですが、伊部氏自身が行程を実演しながら説得し、ようやく製造ラインを動かすことができたそうです。

こうして製造が実現し、1983年にG-SHOCKは発売されました。開発を始めて2年の歳月を要しました。

・数々の難航を経て完成した原点と今

開発から製造までの難航に次ぐ難航に、企画書を書いたことを後悔していたという伊部氏。開発を始めた1981年より2年間、すべての行程で困難に見舞われました。
そんな中でようやく完成したDW-5000Cは、今や『ORIGIN』として変わらない形で世界中で愛されています。
そこからG-SHOCKブランドとして進化し、各モデルや素材のバリエーションが多数開発・販売され、現在に至っています。
その過程で迎えた2023年。G-SHOCK発売より40周年目となる節目の年です。
この2023年6月26日にこの『ORIGINの形状』が特許庁より、日本国内で”文字無しの立体商標”として登録されました。これは『ORIGINの形状が、カシオ G-SHOCK 唯一のもの』であることを意味します。
また、文字無しの立体商標の登録は、文字ありに比べて特段条件が厳しいらしいですが、40周年の節目の年に合わせて、大変な労力をかけてやっとのことで登録できたとのことです。
これは模倣商品から権利を守る上で重要ですが、それ以上に『一つの資産として形を成した』ことは、作り手としてはこれ以上ない喜びと言えるのではないでしょうか?

・まとめ

今回は、G-SHOCKの製造実現へのステップについてご紹介しました。
パーツ製造過程から「パーツが作れない」という状況からはじまりました。そこを伊部氏自身が頼み込み、工場に通いつめることで目途が立ちました。
また、組み立て工程も「難しすぎる」と難航し、伊部氏自身が実演しながら説得をしたといいます。そうした苦難の開発過程は時間にして2年。ついにG-SHOCKはリリースされました。リリース後も人気を獲得するまでには長い道のりを歩んだと言われています。(→※別記事:G-SHOCK(=ジーショック)が人気になるまでの意外なエピソード)
G-SHOCKの製造過程は、言い換えれば開発者である伊部菊雄氏の試練の過程といえそうです。
苦労の末に世界に認められ、そして迎えた40年目の節目の年に一つの資産として確立しました。
進化を続けるG-SHOCK。今後もその進化から目が離せません!

→「G-SHOCK(ジーショック)のできるまで①【開発・設計編】」をまだ見てない方はチェック!


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