「一生モノ」とも言われる機械式時計ですが、どんなに性能が良く、高価で美しい時計でも、ノーメンテナンスでは確実に劣化してしまったり、不調が現れます。(私たち人間もそうですものね…)
そこで欠かせないのが「オーバーホール」というメンテナンス。きっと時計をお持ちの方は一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。ただ、実際にどういうものなのかはあまり詳しく知らない方もいらっしゃると思います。
この記事では、機械式時計を長く使い続けるために必要なオーバーホールについて、基本的な部分とその必要性についてお話していきたいと思います。

オーバーホールとは?時計“中身”のフルメンテナンス
オーバーホールとは、「分解洗浄」とも言われており、その名の通り時計内部のムーブメントを分解・洗浄・注油・調整する、私たち人間で言う “定期健診”のような作業です。機械式時計は数百個の細かい部品が組み合わさって出来ており、それをパーツ単位まで完全に分解していき、すべて点検していくという気が遠くなるような作業が行われます。作業をされる熟練の職人さん達には本当に頭が下がりますね。その細かい部品が一つでも劣化していたり不具合があると、少なからず時計の状態に影響が出てくるわけです。
ご使用の中で衝撃や水没など故障の原因になるようなことがなかったとしても、長く使っていると内部の潤滑油が劣化していたり、他にもパーツのゆるみ、汚れや汗などによる錆びなどが起こり得ます。これらを放っておくと精度の低下や故障の原因になります。

オーバーホールはこのような時計内部での不具合が起きてしまうことへの予防のような考えとなります。ちなみにオーバーホールと、修理は別物です。
「壊れてから」ではメンテナンスではなく修理となり、かかる金額も大幅に変わりますので、愛用の時計を長く使うためには、壊れてからでは遅いと心得ておくのが良いと思います。
ひとつひとつ分解しメンテナンスや交換を終えたパーツは、また元の様にひとつひとつ組み立てられます。その他防水チェックや精度調整、磁気抜き等も行われ、手元に返ってきます。
オーバーホールは金額が高いイメージや、長期間の預かりになるイメージもあるかと思いますが、内容を知ると妥当に思えるかもしれませんね。
どのくらいの頻度で必要?
一般的には3〜5年に一度が目安とされています。
車検のように○〇年〇月〇日までといった決め事はないため、お使いになる方のタイミングにはなってしまうので、何年も忘れてしまって10年20年と経ってします方もいます。40才になったら~とか、結婚〇〇周年の年に~、子供の高校卒業の年になったら~、などと大きな節目に合わせて記憶しておくのも良いかもしれません。

お子様が成人のタイミングでお父様が今まで使ってきた時計をオーバーホールに出し、大人になった息子さんに譲られるお客様もいらっしゃいます。
しっかりメンテナンスを重ねてきた時計は次の世代へ受け継ぐこともできる立派な“家族の財産”になります。子どもや孫に譲ったとき、ただのモノではなく、あなたの時間や思い出ごと託すことができるのです。

あなたの腕時計、最後にオーバーホールしたのはいつですか?
未来に託せる一本にするために、そろそろメンテナンスしてあげましょう!